二つ目の誤解
「身体検査が厳しい=パイロットになることは容易ではない」と誤解される二つ目の理由は少し複雑だ。
先ほど、身体検査の基準には、第一種と第二種があると記述したが、実はプロ向けの第一種基準より、さらに厳しい基準にて、検査を実施する所がある。
それは、自社養成パイロット採用試験・航空大学校入学試験・一部の私大パイロット養成コースの身体検査だ。
第一種より厳しい身体検査とは?
なぜ、法律で定められた、第一種航空身体検査基準よりも、厳しい基準で検査を行うのだろうか?
それは、第一種航空身体検査基準の対象は、若い訓練生パイロットから、60歳定年直前のパイロットまでが対象となっており、基準は、年齢に応じて細かく設定されておらず、若者~60歳まで、同一だからだ。
もし受験生が、まだまだ若いのにもかかわらず、60歳と同じ体力では、さすが航空会社も採用しづらい。自社養成パイロット出身者ともなれば、一人当たり、3億円とも言われる訓練費を会社が負担するため、もし、機長まで育て上げた段階で身体基準を下回り、乗務不能となれば、航空会社にとっては、大損となってしまう。
この厳しい基準は、JAL・ANAが、それぞれ独自の基準を設けて、自社養成パイロット採用を行ったのが始まりだ。社内基準のため、どのような検査内容で、どのような基準値で…といった情報は決して表には出てこない。
なお、航空大学校と一部の私大(具体的な大学名は伏せるが…)については、JALやANAの協力の元でパイロットを養成していることから、両社それぞれの社内基準と同等な、厳しいレベルで身体検査を行っている。
結果、自社養成、航空大学校、一部私大共に、身体検査の通過率は約40%で、実に半数以上が不合格となるのだ。
なぜ狭き関門を目指す?
やっぱり厳しいじゃないか!と落胆された方も多いだろう。
しかしよく考えて欲しい。
パイロットになるための方法は、自社養成・航空大学校以外にもあるのだ。
例えば、第一種航空身体検査基準で入学可能な私大もあるし、訓練の初期過程を大学にて終えた後に採用される、いわゆる有資格者採用試験においても、第一種航空身体検査基準にさえ適合さえしていれば、採用いただける航空会社だってある。
また、第一種基準は法律に定められた決まりであるのに対し、厳しい方の基準はそもそも会社内の決まりであることがポイントである…
落ちるには理由がある
これ以上はPILOT専門進学塾・シアトルフライトアカデミーに進路相談に来られた方にしかお話出来ないため割愛させていただくが、実例として、シアトルフライトアカデミーの卒業生でも、「航空大学校の身体検査で不合格となったのに、JALの自社養成では合格した」や、「JALの身体検査では不合格だったのに、ANAでは合格した」といった例を挙げたらキリがない。
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