皆さんこんにちは!
理事長・パイロット養成コンサルの冨村です!
パイロットを志望する皆様は、四月に進級、進学または新社会人となり、新たな一歩を進まれて早三ヶ月。
ようやく新しい立場や居場所に慣れてきた頃だと存じます。
フレッシュマンが活躍しだす、この時期になると、ちょうどエアライン各社の採用傾向も見えて来ます。
特に去年2020年は、新型コロナウイルス蔓延に伴い、航空業界にも激震が走りましたので、パイロット志望者の皆さんにとって、各社の状況と採用傾向は、とても気になるところかと推察します。
今回は、2020年度のエアライン各社の状況報告とパイロット採用情報についてお話ししたいと思います。
エアライン旅客数の減少 コロナの影響は?
毎日のようにメディアで報じられております通りで、2020年度は航空業界にとって新型コロナウイルスの影響は大変大きかったといえます。
国連の専門機関ICAOが発表した内容によりますと、全世界でコロナ前との比較で、航空旅客数は60%も減少したそうです。
日本のエアラインに限定してみますと・・・
国土交通省が2021年3月31日に発表した、令和2年分の航空輸送統計によると、2020年(令和2年)の国内線旅客数は4,674万人で対前年比56.2%減でした。
また、同年、国際線旅客数は436万人で対前年比81.4%減でした。
昨年の今頃を思い出してみると、得体の知れない新型コロナウイルスに、多くの国民が動揺し、都道府県を跨いでの移動など自粛しましたので、当然、そうなるだろうな、といった結果かと思います。
2021年に入り、コロナ禍はまだまだ脱してはいないものの、コロナ自粛疲れや、経済活動をこれ以上止めることが出来ないなどの理由もあってか、人出や航空旅客数も全国的に回復傾向なことから、航空会社にとっての危機から、徐々に脱しつつあるのではないかと、個人的には思っています。
因みにPJ SFA羽田空港校のある、羽田空港は一年前と比べて、良いか悪いかは別として明らかに人は多いです。
実際、JAL、ANAが発表した、2021年ゴールデンウィーク中の旅客数は、昨年比でJAL7.7倍、ANA11.2倍と発表されています。
無論、日本はコロナ危機から脱しているわけではありません。
国内の感染者数がまた大幅上昇し、また旅客数が大幅に減少に転じる可能性がないわけではありません。
(心配なのはオリンピックによるウイルスの国内への侵入と拡大ですね・・・)
しかも、ご存知の通りコロナウイルスは変異型のものですから、現在流通しているワクチンがどの程度対策に有効なのかは未知数です。
しかし、未知のウイルスの脅威から人類という種を守る手段として、意図してか意図せずか、社会全体がコロナと共存し、経済活動を極力止めない方向に動きつつあるのだと私は思います。
エアライン各社の収支 コロナの影響は?
エアライン各社とも、軒並み大幅な減収・赤字転落が報告されておりますが、一番気になるのはJALとANA。
2021年3月期の通期決算(1年間)を確認しましたところ・・・
JALは、グループ連結売上高が、前年同期比65.3%減の4812億円、利息および税金控除前利益が3983億円の赤字となりました。
自己資本比率は45.0%を確保。
21年3月期末での手元流動性(自社で使い道を決めることが出来る資金)は、現金・預金など4083億円とは別に、コミットメントラインで3千億円を確保し、計7000億円以上となっています。
一方でANAの売上高は、同63.1%減の7286億円、営業損益が4647億円の赤字となりました。
自己資本比率は31.4%となり、昨年度より10%のマイナス。
手元流動性についてANAは、21年3月期末の時点で、十分に確保されていると報告。
2020年9月時点での手元流動性は、現金・預金など計4522億円を確保しているとのことです。
簡単に説明すると、手元の資金がある限りは、赤字をまだ乗り越えられる体力はあるものの、新型コロナウイルスに伴う経済活動や、旅客数推移など、先行きが不透明なため、各社とも体力勝負になって来ているものと思われます。
世界規模でみると、資金力に難があるLCCだけでなく、各国のフラッグ・キャリアもコロナにより倒産したり、国から補助を受けて再生中のエアラインが多い中で、日本のエアラインはまだ余裕があると言えます。
航空業界に限った話ではありませんが、多くの日本国内の大企業は、世界で稀に見るほど企業内に内部留保を持っており、突然のコロナ禍で世界中の大企業が資金繰りに苦労する中で、475兆円と算出されている潤沢な内部留保により、うまく持ち堪えられていると世界から着目されているのです。
コロナの影響が一体いつまで続くかは定かではありませんが、人出、旅客数推移、JALやANAの手元流動性、そして日本の大企業が持つ内部留保を考えると、他国の企業やエアラインよりは、まだ日本は恵まれていると考えるべきではないでしょうか。
あまり悲観的になる必要はありません。
2020年のエアラインパイロット採用の傾向
コロナ禍による影響で、エアライン各社が難しい舵取りを強いられる中で、パイロット採用にも変化のあった1年となりました。
パイロット志望者にとって、とても気になるのが、エアラインパイロット採用が減少傾向でないかどうか。
結論から申し上げると、傾向こそ変わったものの、採用数のボリュームが大きく減少したわけではなく、現時点ではさほど心配は要らない、と言えます!
パイロット採用数に、コロナは影響少である理由
なぜパイロット採用者数にコロナ禍の影響が軽微なのかと言いますと、エアラインパイロットの養成には、航空会社にとっても長〜い時間がかかるからです。
資格を取る前から換算し、副操縦士になるまで最短でも約6年。
副操縦士になってから機長になるまでは、平均でも9年を要します。
(しかも、今後は更に期間が延びることが予想されます。)
すなわち、エアラインに対して運航することによって利益を出せる存在(機長)となるまで、約15年もの長い年月がかかるのです。
コロナ禍によって、少しでも経費削減が求められるようになったため、各社とも余剰人員を一時的に他企業に派遣したり、新規採用を止めるなど、経費削減策を取っておりますが、他職種と違ってパイロットは養成期間がそれだけ長くかかるため、何年も先を見越して採用する必要があることから、採用を止めることが出来ないジレンマがあります。
採用のあり方を見直して、経費削減をすることは出来るでしょうけど、採用数を減らすことは、コロナ後の経済反動(急回復)を考えると、なかなか踏み込めないのが実情です。
また事業用パイロット養成には、一人あたり4000万円から6000万円の養成経費がかかりますが、パイロット養成所には、訓練生数×養成経費がかかるほど、それは莫大な規模となるわけで、経費削減が必要だからと言って、それだけの理由では施設を簡単にクローズできない理由もあります。
クローズするのは簡単なんです。
でもその規模のものを、また一から作り直すのには、小さな国の国家予算レベルのお金と数十年の時間がかかるのです。
そういった事情も踏まえて、各社の傾向を解説したいと思います。
JALのパイロット採用 例年通りか強気
JALといえば自社養成。
JAL自社養成採用は、今年ANA自社養成採用が行われなかった(ANA後述)ことから、強気で行っています。
例年ではANAや外資系など他社に取られてしまっていた優秀な人材が、コロナ禍による採用減によって、JAL自社養成に集まりやすくなっており、JAL採用は、これを好機と捉えているようです。
JAL自社養成採用数は、例年通りの採用数か、もしくは少し多い人数と予想しています。
有資格者採用についても、私大航空操縦、一部使用事業(会社限定)からの採用を積極的に行なっています。
航空大学校からの採用については、JALとしては積極採用したいものの、採用試験の順序の問題もまだ残っており未知数です。
有資格者採用は、自社養成採用と比較し、比較的短期間で副操縦士昇格へ至り、結果的に経費削減になるため、なるべく有資格者から採用しておきたいところですが、有資格者全員が適性など条件を満たしているわけではなく、有資格者採用で確保できない場合は、自社養成採用を増やす可能性があります。
ANA(ANAwings)のパイロット採用 自社養成採用は中止
今年は自社養成採用がなく、パイロット志望者の無念さの声がよく聞かれますが、ANAとしてはJAL同様に、経費削減のためにも、なるべく有資格者採用にしたいことと、海外で行われる自社養成訓練にはコロナのリスクが伴い、長期計画が立てにくいことから、自社養成採用が中止となったものと推察します。
(現在では主な訓練先であるアメリカなどが安定化してきているため、今後の見通しは明るいです。)
自社養成採用が中止となった=パイロットの採用を全くしない、というわけではないですよ!
また、ここ数年間、世界のパイロット基礎養成方式に学び、MPL方式を採用したANA自社養成ですが、実は世界では信頼性の観点からMPL終了の流れが出て来ているのはご存知でしょうか。
そもそも日本のパイロット養成は、MPL以前から、最短訓練時間でのエアラインデビューを続けて来ましたので、ANAとしては、MPLのメリットがあまり見出せず、コロナでの経費削減に合わせて、脱MPL(すなわち訓練プログラムの作り直し)に踏み切った可能性もあるかも知れません。(※冨村のあくまでも個人的な予想です)
スカイマーク(SKY)のパイロット採用 有資格者採用に期待
例年では秋口に行われているスカイマーク(SKY)自社養成は、今回実施されませんでした。
SKY自社養成訓練は、オーストラリアのアデレードで現在も行われておりますが、コロナの影響もあって、日本の免許への書き換えや、日本の事業用免許取得のための訓練、B737のタイプレーティング取得のための訓練などに徐々に遅れが出て来ていることが原因の模様です。
SKYとしては、自社養成パイロットを採用したとしても、訓練投入までの時間が長くかかってしまい、結果、コロナで人員削減したい状況下に、かえって余剰人員を増やしてしまう結果を防ぐための一時的な措置なのではないでしょうか。
SKYの有資格者採用は、今も行われており、私大を中心に・航大・使用事業からも採用継続されています。
JAL系子会社のパイロット採用(ジェイエア・JTA・JAC・RAC)
昨年から再開したジェイエアの自社養成。
今年からJAL自社養成と同時並行で行われています。
人数規模としてはさほど大きくありませんが、会社規模で考えれば、積極的に採用していると言って良いかと思います。
自社養成訓練(基礎課程)は、SKYと同じオーストラリアのアデレードを予定しています。コロナの影響も現時点では少ない模様です。
一方で、JTAとRACは、沖縄県内(特に琉球大学)から自社養成パイロットを採用しています。
人数は若干名で、基礎訓練は崇城大学に委託されています。
JACも鹿児島大学と連携し、自社養成パイロットを若干名採用。
各社とも地域連携のため、パイロット志望者が誰でも気軽に受験できるわけではありません。
ジェイエア・JTA・JAC・RACともに、有資格者採用も行なっています。
特にジェイエアは、コロナ禍においても、私大から積極的に有資格者を採用している模様です。
パイロット採用2020年 まとめ
コロナ禍で採用数が減ったと思われているパイロット採用ですが、長期的に考えれば、訓練プログラムを見直すなど理由もなしに、訓練を止めることは得策ではないため、採用は今も変わらず続いているのが現状です。
パイロット志望者の方からすると、パイロット採用の傾向が変わるだけで、出鼻を挫かれたように感じられる方もいらっしゃることとは思いますが、専門家からの最新の情報を元に戦略を正しく立てることと、コロナのこの時期をパイロットに必要な適性を身につける時間として、有効活用いただきたいと思います。
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