
皆さんこんにちは。
PJ SFA学科主任の江田です。
前回では具体的にどのような練習をすれば良いのかというのを簡単に説明しました。中編、後編では想起練習にまつわるちょっとだけ深い話を掘り下げてみようかなと思います。
ワシントン大学作成の想起練習のガイド
とりあえず想起練習研究の第一人者的なRoediger先生とAgarwal先生が関わっているようでして、普通に使う分にはこれだけでも良いかなといった感じです。
とりあえず想起練習の効果としては、テキストの再読、蛍光ペンによるハイライトなどよりも、想起練習は長期記憶を増強するとのこと。私たちが勉強する目的は、とりあえずテストで良い点数を取ることではなくて長期的に知識として使えることですから、想起練習をうまく使いこなしてガンガン使える知識を増やした方が良いわけです。また、想起練習の効果というのは記憶の保持だけでなく、下のような効果を期待できます。
- 複雑な思考や応用力
- 知識の統合
- 知識の新しい概念への遷移
- メタ認知をも活性化する働き
メタ認知は自分の考え、他人の考えとの相違、知っていること、知らないこと、などを上位(メタ)の視点で観察できる能力のことを言います。
これは非常によくわかる話ですね。私自身クイズとかテストが好き(という変わり者)なんですが、「あー自分は政治とか地理とかは全く興味ないし知らないんだなー」とか、「計算は得意だけど、図形になると途端に思考停止する・・・」とか、どうしても自分のことを観察せざるを得なくなります。メタ認知能力は学習だけでなく仕事にも使えますし、コミュニケーションにおいてもうまく起動しておけばギクシャクしないで済みますので鍛えておいて損はないです。(ただ私は過剰に考えすぎて最終的に会話がめんどくさいなと思ってしまう人なんです・・・。何事もほどほどが大事ですね)
メタ認知は身の程を知るという点でも重要かと思います。
人間はたいてい自分のことを平均よりは上と考えているものです。それが「あ、できると思ったけど出来ないや・・・」みたいに気付ける機会が多ければ多いほど、身の丈にあった自己像が出来上がっていきそうですよね。
注意点としては、想起練習は「学習を促すための戦略であって、評価ツールではない!」ということでしょうか。これ結構見落としがちなんですが、勉強する際にはなるべく強い不安を感じない方が良いと思われます。というのも、記憶する際に重要な器官である海馬はストレスに弱いという特徴があるんですよね。実際長期的なストレスで記憶能力が低下するという研究もあります。
詳しいメカニズムはわかりませんが、海馬ってストレスホルモンの一種であるコルチゾールを含む糖質コルチコイドの受容体があるそうです。なので急性にしろ慢性にしろ、過剰なストレスが記憶によろしくないというのはあり得る話だな、と思います。
で、なぜ評価ツールにすると良くないかというのは、よく学習心理学でいう「テスト不安(test anxiety)」に陥る生徒が出てくるからです。評価に使うよ!と言われるとどうしてもびびっちゃいますからね。ストレスが高まると学習効果が落ちるのであれば、評価のためのテストはここぞというときだけやって、評価とはまったく関係ないテストも実施してあげたいものです。
そういえば先に挙げた想起練習のガイドには「想起練習は本番のテスト不安をも下げるよ!」とありましたっけ。
後編に続く・・・

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